日本神話の最高神、天照大御神(あまてらすおおみかみ)。その名は、太陽のように輝く存在として、古くから日本人の心に深く根付いてきました。皇室の祖神であり、伊勢神宮に祀られるこの女神は、単なる神様ではありません。今回は、天照大御神の誕生から、彼女が日本にもたらしたとされる「力」について、分かりやすく解説します。
1. 天照大御神の誕生:三貴神の一柱として
天照大御神は、伊邪那岐命(イザナギノミコト)という神が、黄泉の国から帰ってきた際に身を清める「禊(みそぎ)」から生まれました。
- 左目から生まれたのが、太陽の女神である天照大御神。
- 右目から生まれたのが、月の神である月読命(ツクヨミノミコト)。
- 鼻から生まれたのが、海の神である須佐之男命(スサノオノミコト)。
この3柱の神は、イザナギノミコトによって「三貴神(さんきしん)」と名付けられ、特別な存在とされました。特に天照大御神は、高天原(たかまがはら)という天上世界を治めるよう命じられ、日本の太陽神として君臨することになります。
2. 天照大御神が「生んだ」神々:誓約の神事
天照大御神が直接的に子どもを産んだとされるのは、弟であるスサノオノミコトとの「誓約(うけい)」という神事の時です。この神事は、スサノオが自身の潔白を証明するために行われました。
天照大御神は、スサノオの十拳剣(とつかのつるぎ)を噛み砕き、3柱の女神を生みました。 これらは宗像三女神(むなかたさんじょしん)と呼ばれ、航海の安全を守る海の神として信仰されています。
- 多紀理毘売命(タキリビメノミコト)
- 市寸島比売命(イチキシマヒメノミコト)
- 多岐都比売命(タギツヒメノミコト)
一方、スサノオは、天照大御神の勾玉(まがたま)を噛み砕き、5柱の男神を生みました。
- 天之忍穂耳命(アメノオシホミミノミコト)
- 天之菩卑能命(アメノホヒノミコト)
- 天津日子根命(アマツヒコネノミコト)
- 活津日子根命(イクツヒコネノミコト)
- 熊野久須毘命(クマノクスビノミコト)
これらの神々は、天照大御神とスサノオの「誓約」という、神聖な行事から生まれた特別な存在とされています。宗像三女神はスサノヲの子供。5柱の男神は天照の子供とされました。
あれ?天照が十拳剣(とつかのつるぎ)を噛んで生まれたのが宗像三女神だから、宗像三女神が天照の子で、スサノヲが勾玉を噛んで生まれた5柱の男神はスサノヲの子供じゃないの?って思う人もいるでしょう。僕がそうでした。しかし、天照が宗像三女神のことを「スサノヲの物(剣)から生まれた神だから、あなたの子」と言い、逆にスサノヲが天照の勾玉を噛んで生んだ5柱の男神を「私の子」と認定しています。
まとめ
天照大御神は、日本の神話において最も重要な存在であり、太陽の恵みや生命の源を象徴しています。彼女が産んだ五柱の神々から神話は発展していきます。また、日本各地の神社で祀られ、それぞれの土地に根付いた信仰の対象となっています。日本の神話や神社に興味がある方は、ぜひ天照大御神が祀られている伊勢神宮を訪れてみてはいかがでしょうか。
コメント