日本神話の国生みを終えた伊邪那岐命と伊邪那美命は、日本の国土を豊かにするために様々な神々を産み出します。この記事では、「神産み」と呼ばれるその壮大な物語に登場する35柱の神々を、誕生の経緯ごとに順番にまとめてご紹介します。
1. 伊邪那美命が産んだ神々:自然を司る19柱
これらの神々は、大地や海、山、川など、日本の自然や生活を司る重要な存在です。
- 大事忍男神(おほことおしをのかみ)男
- 石土毘古神(いはつちびこのかみ)男
- 石巣比売神(いはすひめのかみ)女
- 大戸日別神(おほとひわけのかみ)不詳
- 天之吹男神(あめのふきをのかみ)男
- 大屋毘古神(おほやびこのかみ)男
- 風木津別之忍男神(かざもつわけのおしをのかみ)男
- 大綿津見神(おほわたつみのかみ):海の神 男
- 速秋津日子神(はやあきつひこのかみ):川の神 男
- 速秋津比売神(はやあきつひめのかみ):川の神 女
速秋津日子神と速秋津比売神から生まれた神々(8柱)
この二神がさらに子を産み、水のあらゆる形態を司る神々が誕生しました。
- 沫那藝神(あはなぎのかみ):水の泡の神 男
- 沫那美神(あはなみのかみ):水の泡の神 女
- 頬那藝神(つらなぎのかみ):水面の神 男
- 頬那美神(つらなみのかみ):水面の神 女
- 天之水分神(あめのみくまりのかみ):天からの水を司る神 不詳
- 国之水分神(くにのみくまりのかみ):地の水を司る神 不詳
- 天之久比奢母智神(あめのくひざもちのかみ):天の水の神 不詳
- 国之久比奢母智神(くにのくひざもちのかみ):地の水の神 不詳
2. 伊邪那美命の病から生まれた神々:生活を司る8柱
火の神を産んだことで伊邪那美命は病に伏しますが、その苦しみからさらに神々が誕生します。
- 志那都比古神(しなつひこのかみ):風の神 男
- 久久能智神(くくのちのかみ):木の神 不詳
- 大山津見神(おほやまつみのかみ):山の神 男
- 鹿屋野比売神(かやのひめのかみ):野の神 女
- 鳥之石楠船神(とりのいはくすふねのかみ):船の神 男
- 大宜都比売神(おほげつひめのかみ):食物の神 女
- 迦具土神(かぐつちのかみ):火の神 男
火の神の誕生と伊邪那美命の死
火の神である迦具土神を産んだ際、伊邪那美命は命を落とします。その時に彼女の体から生まれた神々が、以下の8柱です。
- 金山毘古神(かなやまびこのかみ):鉱山の神 男
- 金山毘売神(かなやまびめのかみ):鉱山の神 女
- 波邇夜須毘古神(はにやすびこのかみ):土の神 男
- 波邇夜須毘売神(はにやすびめのかみ):土の神 女
- 彌都波能売神(みつはのめのかみ):水の神 女
- 和久産巣日神(わくむすびのかみ):生成の神 不詳
- 豊宇気毘売神(とようけびめのかみ):食物の神(外宮の主祭神)女
3. 伊邪那岐命の禊から生まれた神々:三貴神(さんきしん)
伊邪那美命を黄泉の国に残して帰還した伊邪那岐命が、穢れを払うために禊(みそぎ)を行った際に生まれた、日本神話で最も重要な神々です。
- 天照大御神(あまてらすおほみかみ):左の目を洗った時に生まれた太陽の神 女
- 月読命(つくよみのみこと):右の目を洗った時に生まれた月の神 男
- 建速須佐之男命(たけはやすさのをのみこと):鼻を洗った時に生まれた海の神 男
番外編

この写真は淡路島にある伊弉諾神社にある看板の写真です。
この写真を見てもわかるように伊邪那岐命と伊邪那美命で35柱の神を産んだことになっています。実際に11〜18の沫那藝神(あはなぎのかみ)沫那美神(あはなみのかみ)頬那藝神(つらなぎのかみ)頬那美神(つらなみのかみ)天之水分神(あめのみくまりのかみ)国之水分神(くにのみくまりのかみ)天之久比奢母智神(あめのくひざもちのかみ)国之久比奢母智神(くにのくひざもちのかみ)は、「速秋津日子神と速秋津比売神から生まれた神々」です。人間界では孫に当たります。
直接、伊邪那美命が産んでいない神も伊邪那岐命、伊邪那美命が産んだことになっています。これもまた古事記の面白いところではないでしょうか。
まとめ
このように、伊邪那岐命と伊邪那美命は、天地開闢の混沌から秩序を生み出し、日本の自然や生活、そして後の神話の根幹をなす重要な神々を産み出しました。彼らの物語は、日本の神話文化を理解する上で欠かせない、壮大な創造の物語と言えるでしょう。
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