宇宙理論シリーズ Vol.58

宇宙の法則

「もっといい自分」になろうとするのを、やめてみる。

自分を変えることに必死になるほど、見えなくなってしまうもの

はじめに―理想の自分を追いかけて、今の自分を置き去りにしていないだろうか

僕たちは、もっといい自分になりたいと思う。

もっと前向きになりたい。

もっと自信を持ちたい。

もっと豊かになりたい。

もっと人に優しくなりたい。

そして、宇宙理論を学ぶと、こんな思いも生まれてくる。

「もっと波動を上げなきゃ」

「ネガティブな思考を手放さなきゃ」

「宇宙を信頼できる自分にならなきゃ」

「願いを疑わない自分にならなきゃ」

一つひとつは、決して悪いことではない。

成長したいと思うことも、よりよい人生を望むことも、素晴らしいことだと思う。

でも、少しだけ立ち止まって考えてみたい。

理想の自分を目指すことと、今の自分を否定することは、同じではない。

ところが、この二つは簡単に入れ替わってしまう。

今の自分では足りないから、変わらなければならない。

今の自分では波動が低いから、上げなければならない。

今の自分では願いを叶えられないから、もっと成長しなければならない。

こうして僕たちは、幸せになるために学んでいるはずなのに、いつの間にか「今の自分ではダメだ」という思いを強くしてしまう。

まるで、目的地に着くまで、ずっと自分に不合格を出し続けているようなものだ。

でも、本当にそうなのだろうか。

人生を変えるために必要なのは、今の自分を否定することではないのかもしれない。

今回は、エイブラハムとバシャールの教えから、そのことを考えてみたい。


1.成長したい気持ちが、いつの間にか自分へのダメ出しに変わる

例えば、以前より穏やかな人間になりたいと思ったとする。

人の言葉にイライラしない。

小さなことで腹を立てない。

いつでも落ち着いていられる。

そんな自分を目指している。

ところが、ある日、誰かの言葉に腹が立ってしまった。

その瞬間、こんな声が聞こえてくる。

「まだこんなことで怒るのか」

「全然成長していないじゃないか」

「もっと精神的に成熟しなければ」

気づけば、相手の言葉に腹を立てたことよりも、腹を立てた自分を責めることにエネルギーを使っている。

本当は、ただ腹が立っただけだった。

それなのに、自分の成長が足りない証拠にしてしまった。

これでは、心が休まる暇がない。

宇宙理論を学ぶことが、自分を理解するためではなく、自分を採点するための道具になってしまう。

ここで覚えておきたいことがある。

成長とは、以前の自分を罰することではない。

昨日できなかったことが、今日できるようになる。

それも成長だ。

そして、昨日と同じ失敗をした自分に、今日は少し優しくできる。

それもまた、成長なのだと思う。

2.エイブラハムの感情のガイダンスは、自分を叱るためのものではない

エイブラハムの教えには、「Emotional Guidance Scale(感情のスケール)」がある。

公式資料では、感情を、自分がSource Energyとどの程度同調(アライメント)しているかを示す指標として説明している。

喜びや感謝、情熱といった感情だけでなく、怒り、不安、恐れなどもスケールに含まれている。

ここで大切なのは、感情を単純に「良いもの」と「悪いもの」に分けて終わらせないことだ。

感情は、自分の状態に気づくための手がかりとして扱える。

例えば、仕事で失敗したとき。

「落ち込んでしまった。こんな気分ではダメだ」

と考えることもできる。

一方で、

「僕は今、かなり落ち込んでいるんだな。思っていた以上に、この仕事を大切にしていたのかもしれない」

と考えることもできる。

同じ落ち込みでも、その後の自分との付き合い方が変わってくる。

前者は、感情に加えて自分を責める。

後者は、感情を通して自分を知ろうとする。

もちろん、感情だけで現実の問題が解決するわけではない。必要なら原因を調べ、対策を考え、行動することも大切だ。

それでも、最初の一歩は同じだ。

今の自分が何を感じているのか、否定せずに気づくこと。

感情のガイダンスを、自分を叱るためではなく、自分を理解するために使ってみよう。

参考:Abraham-Hicks公式|Emotional Guidance Scale

3.「波動を上げなければ」という焦りも、手放していい

宇宙理論を学んでいると、「波動」という言葉をよく目にする。

いい気分でいる。

感謝する。

喜びを感じる。

前向きな考えを選ぶ。

こうしたことを意識するのは、自分の心を整えるうえで役立つ場合がある。

でも、ここにも落とし穴がある。

波動を上げること自体が、新しいノルマになってしまうのだ。

朝から気分が重い。

だから、感謝できることを探す。

気持ちが晴れない。

だから、ポジティブな言葉を唱える。

それでも気分が変わらない。

すると、

「こんなに努力しているのに、どうして変われないんだろう」

と、自分を責めてしまう。

これでは、心を軽くするための実践が、心を追い詰める原因になってしまう。

例えば、雨の日に洗濯物が乾かないからといって、空に向かって「もっと晴れなさい」と命令しても、天気は思いどおりにはならない。

そんなときは、乾燥機を使うか、部屋干しをするか、別の日に洗濯するかを考えればいい。

自分の感情も、少し似ている。

無理に晴れさせようとするより、今の状態に合わせた過ごし方を選んでみる。

疲れているなら休む。

気分転換したいなら散歩する。

誰かに話したいなら話してみる。

いつも最高の気分でいることより、どんな気分の自分にも適切に接すること。

そのほうが、長い目で見れば、自分との関係を健やかにしてくれるのではないだろうか。

4.バシャールの「自分自身であること」は、理想の自分を演じることではない

バシャールの公式、基本原則「Basic Principles」では、自分自身であることや、自由意志によって選択することが基本的な考え方として示されている。

この教えを今回のテーマに重ねてみると、面白いことが見えてくる。

僕たちは、ときどき「理想の自分」を演じようとする。

いつも冷静な自分。

何事にも動じない自分。

すべてを信頼できる自分。

人に優しく、いつも笑顔でいられる自分。

そして、理想どおりに振る舞えなかったとき、自分に失望する。

でも、もし「自分自身であること」が大切なのだとしたら、理想の人物を演じることに必死になるのは、少し矛盾しているのかもしれない。

例えば、今日は一人で静かに過ごしたい。

でも、「人とのつながりを大切にする自分でいなければ」と考えて、無理に人付き合いをする。

本当は休みたい。

でも、「行動することが大切だから」と、自分を追い立てる。

こうした行動がいつも悪いわけではない。ときには、自分の気分を超えて行動することが必要な場面もある。

ただ、自分の本音を聞く前に、理想の自分の声ばかりを優先していないか、確かめてみたい。

自分らしく生きることは、完璧な自分を演じることではない。

今の自分を知り、その自分が何を選ぶのかを大切にすることなのだと思う。

参考:Bashar公式|Basic Principles

5.ワクワクを「成功するための条件」にしない

バシャールのワクワクの公式(Follow Your Excitement Formula)では、その瞬間に最もワクワクする選択肢に行動し、自分のできる限りを尽くしながら、特定の結果への執着を手放すという考え方が示されている。

ここで、もう一度「ワクワク」の意味を考えてみたい。

ワクワクすることを選ぶ。

それは、自分の興味や情熱を無視しないということだ。

でも、いつの間にか、

「ワクワクすることを選んだのだから、成功しなければ」

という考えに変わってしまうことがある。

例えば、ずっと書きたかったブログを始めた。

最初は楽しかった。

ところが、アクセス数が伸びない。

すると、

「本当にワクワクすることなら、結果が出るはずだ」

「結果が出ないということは、自分の選択が間違っていたのかもしれない」

と考え始める。

でも、ワクワクに従って行動することと、必ず期待した結果が得られることは同じではない。

ブログを始めたことで、文章を書く技術が身につくかもしれない。

自分の考えが整理されるかもしれない。

新しい人とのつながりが生まれるかもしれない。

もちろん、望んだ結果を目指して改善することも大切だ。

ただし、最初に感じた興味や喜びまで、結果だけで否定する必要はない。

ワクワクは、未来の成功を保証する証明書ではない。

自分が心から動きたい方向を知るための、ひとつの手がかりなのだ。

参考:Bashar公式|Follow Your Excitement Formula

6.「変わらなければ」と思う前に、「何を大切にしたいのか」を考える

自分を変えたいと思ったとき、僕たちはすぐに方法を探す。

どうすれば自信がつくのか。

どうすれば不安が消えるのか。

どうすれば行動できるのか。

どうすれば人に好かれるのか。

もちろん、具体的な方法を知ることは役に立つ。

でも、その前に一つ問いかけてみたい。

僕は、なぜ変わりたいのだろう?

自信を持ちたいのは、自分の意見を伝えたいからだろうか。

不安を減らしたいのは、もっと自由に行動したいからだろうか。

人に好かれたいのは、安心できる関係を築きたいからだろうか。

こうして考えると、目指しているものが少しずつ見えてくる。

例えば、「自信のある人になりたい」と思っていたとする。

でも、本当に望んでいるのは、自信満々に振る舞うことではなく、自分の意見を落ち着いて伝えられることかもしれない。

それなら、完璧な自信が身につくまで待つ必要はない。

少し緊張していても、一度だけ自分の考えを伝えてみればいい。

つまり、理想の性格を手に入れなくても、望んでいる行動は始められる。

自分を別人に変えなくても、大切にしたいものに近づくことはできる。

この視点を持つと、成長はずいぶん現実的で、優しいものになる。

7.自分を受け入れることは、成長を諦めることではない

ここまで読むと、

「今の自分を受け入れるなら、努力しなくてもいいの?」

と思うかもしれない。

でも、受け入れることと、諦めることは違う。

例えば、泳ぐのが苦手な人がいる。

自分は泳ぐのが苦手だと認めることは、「一生泳げるようにならなくていい」と決めることではない。

自分の現在地を知ることだ。

現在地が分かれば、初心者向けの練習を選べる。

無理をせず、少しずつ水に慣れることもできる。

逆に、「自分は泳げなければダメだ」と責め続けても、泳ぎが上手になるとは限らない。

人生も同じだ。

苦手なことを認める。

足りない知識を認める。

今はまだ自信がないと認める。

そのうえで、必要なら学ぶ。練習する。助けを求める。

それでいい。

自分を受け入れることは、今の自分を出発点にすること。

自分を否定しながら走る必要はない。

今いる場所から、次の一歩を選べばいいのだ。

8.人生を変えるのは、自己否定の強さではない

「もっと頑張らなければ」

「今のままではダメだ」

「自分には足りないものが多すぎる」

こうした思いが、一時的に行動のきっかけになることはある。

でも、自己否定を燃料にして走り続けると、目的地に着く前に疲れ切ってしまうこともある。

ここで、少し想像してみよう。

あなたが大切にしている友人が、何かに失敗した。

その人が落ち込んでいたら、あなたは何と言うだろう。

「そんなこともできないのか」

「もっと成長しなければダメだ」

と、厳しい言葉ばかりをかけるだろうか。

おそらく、

「今回はうまくいかなかったね。でも、次にできることを考えよう」

と声をかけるのではないだろうか。

だったら、自分にも同じように接してみていい。

失敗したら、振り返る。

必要なら改善する。

でも、自分の価値まで否定しない。

反省はしても、自分を罰し続けなくていい。

人生を前に進めるために必要なのは、自分を嫌いになることではない。

自分を理解し、次の選択をすることなのだと思う。

9.「理想の自分」ではなく、「今の自分にできる一歩」を選ぶ

理想の自分を想像することは、悪いことではない。

未来の可能性を思い描くことは、行動のきっかけにもなる。

ただ、理想と現在の距離が遠く見えるときは、問いを変えてみよう。

「どうすれば理想の自分になれる?」

ではなく、

「今の自分にできることは何だろう?」

例えば、もっと健康的な生活を送りたい。

理想は、毎朝早起きして運動し、栄養バランスのよい食事をとること。

でも、今は疲れていて、朝から運動するのは難しい。

だったら、今日は少し早く寝ることから始めてもいい。

もっと文章が上手になりたい。

理想は、誰もが感動する文章を書くこと。

でも、今すぐそれができるわけではない。

だったら、今日書いた文章の一文だけ、丁寧に見直してみる。

人間関係をよくしたい。

理想は、誰とでも自然に話せる自分。

でも、急に性格を変える必要はない。

まずは、一人に自分から挨拶してみる。

こうして考えると、理想は遠くにある目標でありながら、今日の行動につながってくる。

未来の自分を否定するのではなく、今の自分を使って未来へ進む。

そのほうが、成長は無理のないものになる。

まとめ――今の自分を置き去りにしない人生へ

エイブラハムの教えでは、感情を自分の状態を知るためのガイダンスとして捉える。

バシャールの教えでは、自分自身であることや、その瞬間のワクワクに沿って行動することが大切にされている。

それぞれ表現は異なるけれど、今回のテーマに重ねてみると、共通するヒントが見えてくる。

それは、

自分の内側にある感覚を無視せず、今の自分から選択していくこと。

理想の自分を目指してもいい。

成長したいと思ってもいい。

もっと豊かな人生を望んでもいい。

でも、そのために今の自分を嫌いになる必要はない。

不安な自分もいる。

迷う自分もいる。

失敗する自分もいる。

まだできないこともある。

それらは、あなたの価値を決める判定材料ではない。

今の自分の状態であり、これから選択していくための出発点だ。

だから、理想の自分になるまで、幸せを先送りしなくてもいい。

自信がつくまで、自分の意見を伝えることを諦めなくてもいい。

不安が消えるまで、何も始められないと思わなくてもいい。

今の自分にできることを、一つ選んでみる。

その一歩が、未来をつくっていく。

「もっといい自分」になってから人生を始めるのではない。今の自分と一緒に、人生を進めていくのだ。

そのことを思い出せたら、宇宙理論は、自分を追い立てるための教えではなく、自分の可能性を開いていくための考え方になっていくのだと思う。


🌱 今日の一歩

今日、自分に対して「もっとこうならなきゃ」と思ったら、一度だけ問いかけてみよう。

「今の自分のままでも、できる小さな一歩は何だろう?」

自信がなくても、少しだけ挑戦する。

気分が晴れなくても、必要なことを一つ進める。

完璧でなくても、誰かに優しくする。

そして、うまくできなかったとしても、自分を責める代わりに、次にできることを考える。

理想の自分を目指すことと、今の自分を大切にすることは、両立できる。

今日は、その両方を選んでみよう。

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